遊舎工房スタッフブログ

このブログは遊舎工房スタッフが交代で記事を書いていくというものです。自作キーボードにまつわるものなど、なんでもOKな縛りがないものとなっていますのでバラエティに富んだものになるかと思います。

ErgoDash mini ビルドログ

はじめまして。遊舎工房新人スタッフのわくちと申します。

今回は、初めての自作キーボードに挑戦したことについて、ざっくりこんな感じで組み立てました、という流れを記事として書かせて頂きたいと思います。至らぬ部分も多いとは思いますが、よろしくお願いいたします。

 

自作キーボードに興味はあるけど作ったことはない、という方にこの記事を読んでいただいて、実際に作ってみたいと思って頂ければ嬉しいです。

また、既に作っていらっしゃったり、設計をしてらっしゃる玄人の方々には、ぜひ初心に戻って読んでいただければ嬉しいです。

 

 1. はじめに

自作キーボードといえば、左右分割型ですよね。左右分割型を作りたいと自作をはじめる方も多くいらっしゃいます。ということで、私も左右分割型・エルゴノミクス配列で特に人気の、ErgoDashの、小型バージョンであるErgoDasn miniの組み立てに挑戦しました。ErgoDashシリーズの特徴は、①初心者でも組み立てやすく、②親指部分の選択でキー数のカスタマイズが可能、③バックライト・Underglow対応で光らせることができる、といった点にあります。先日販売を開始した自作キーボード入門セットにもErgoDashが採用されておりますので、自作未経験の方は是非そちらもチェックしてみてください↓↓↓↓。

 

2. パーツを選ぶ

今回自作に使用したパーツはこちらです。

キット:ErgoDash mini(親指なし)

キースイッチ:Kailh Box スイッチ Brown

キーキャップ:PBT XDA PBT KEYCAPS

(この他にTRRSケーブルとmicroBケーブルが必要です。)

 

キースイッチに選んだKailh Box Brownは、人気のタクタイルスイッチです。お値段も比較的安価な部類で、手を出しやすいものになってます。(タクタイルスイッチとは、押下時にスコッとした感触があるもので、よく安価で売られているメンブレンキーボードに似た押下感があります。)

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Kailh Box Brown

 

またキーキャップは、刻印があり、セットになっているものを使いました。PBT XDA PBTはどことなく懐かしさを感じる刻印が魅力的で、落ち着いた色合いが作業の邪魔にならず、おすすめです。

 

3. 組み立てる

(※長くなってしまうので、ファームウェアの書き込みについては今回は触れないことにします。)

3-1 中身の確認

組み立てに取りかかる前に、まずはキットの中身の確認をします。

アクリルプレート3種類 x2、PCB x2、ダイオード x56、Pro micro x2、ねじの小袋x1が入っています。(遊舎工房でお買い求めのキットで、万が一足りない部品があった場合にはお問い合わせください。。)

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ErgoDash mini のなかみ

 

 

3-2 ダイオードのはんだづけ

中身の確認が終わったら、まずはPCBにダイオードのはんだづけをします(ちなみに、今回は親指なしですので、はんだづけをする前にPCBの親指部分を切り取っておきます。手でパキっと折れます。)。

はんだづけは中学校の授業以来・・・という方も多いですが、やってみればそれ自体難しいものではないので大丈夫です。ネットで検索すればたくさんやり方が出てきますので、是非探してみてください。

自作キーボードは、基本的にはキーの数だけダイオードとキースイッチのはんだづけが必要になります。今回のErgoDash miniでは最低でも52個のキーが必要ですので、キットをひとつ完成させるころには、あなたははんだづけマスターになっているはずです!

 

穴の間隔に合わせてダイオードの足を折り曲げ、穴に通し、裏面からマスキングテープで固定します。マスキングテープがなければ、通した足を折り曲げて固定してもよいです。

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足に刺されそうですね。

 

ちなみにはんだは、下の写真のように富士山のような形に盛るのが理想です。

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おてほん

 

これを左右対称に二枚作ります。

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同じ向きに2枚作らないように注意しました。。

 

 

3-3 Pro microの処理

Pro microはキーボードの脳みそになる部分です。PCBに乗せるために足を生やします。この足はコンスルー(スプリングピンヘッダ)とよばれるもので、Pro micro側のみにはんだづけをし、PCB側には刺すだけでOKなので、万が一Pro microが壊れた場合には交換が簡単にできます。このコンスルーには取り付けの向きがあるので、はんだ付けの際にはそこだけ気を付けます。(コンスルーについての説明用紙が同梱されていますので、ご確認ください。)

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起き上がれなくなったカメ

 


ちなみに、Pro microのmicroBコネクタ部分は取れ(もげ)やすいです。モゲマイクロという言葉が生み出されるくらいです。この対策として考えられるのは①マグネットケーブルを使用、もしくは②接着剤等で補強することです。今回は②の方法で対策しました。耐熱性があり、機械的強度が高いため2液混合タイプのエポキシ接着剤の使用がおすすめです。使用の際にはコネクタ部分の穴に液が入らないように注意します。

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補強されたPro micro

 

 

3-4 LEDの取り付け

ErgoDashシリーズは、オプションとしてバックライトLEDとUnderglowLEDが取り付け可能です。バックライトLEDはキーひとつひとつを光らせるもので、UnderglowLEDは基板裏面で間接照明的に光らせることができるものです。今回は、WS2812BというフルカラーLEDを使ってUnderglowLEDの取り付けをします。

 

表面実装なので、がんばってはんだづけします。

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切り欠きを見て向きを合わせる

 

LEDが基板から浮いてしまわないように、上から押さえてはんだづけします。

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洗濯ばさみで。。

また、UnderglowLEDを使う場合には、PCB上部にあるI2Cと書かれたランド部分をはんだでブリッジさせる必要があります。右手側、左手側どちらをマスター(USBケーブルを指す側)にするかでブリッジする箇所が異なるので、ビルドガイドをよく読んではんだづけをします。

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左手マスターなら左手側はこうなる

 

 


3-5 ジャックとスイッチの取り付け

TRRSジャックとリセットスイッチのはんだづけをします。リセットスイッチは、Pro microのランドが枠線で囲まれていない側に付けます。

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キースイッチを組み込む前につけます。

 

 

3-6 スタビライザーの取り付け

2Uのキーキャップを使いたい場合には、キースイッチの取り付け前にスタビライザーを取り付けます。(スタビライザーとは、大きなキーキャップのどこを押してもキーキャップが平行に押下されるようにするためのもので、キーキャップとキースイッチの摩耗や、ガタつきを防止してくれます。)

 

プラスチックの部品(写真はクリアですが現在の商品は黒です)をこのような向きで差し込み、

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5つのパーツでできています

 

このように合体させます。

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合体させた大きい部品と小さい部品の両方の穴にワイヤーの先が入るように通します。

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大きい部品にワイヤーを固定するツメがあるので、そこにパチッと組み込んだら完成です。

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完成したスタビライザーをPCBに取り付けて終わりです。

 

 

3-7 キースイッチの取り付け

キースイッチを取り付けていきます。まずアクリルプレートにキースイッチをはめ込んでからPCBに組み付けていきます。アクリルプレートになるべく指紋がつかないように注意し、PCBの穴にキースイッチの足が刺さるように向きに気を付けてはめ込みます。写真ではすべてのキースイッチをアクリルプレートにはめていますが、四隅を先に組み込んだほうがやりやすいです。最下段中央のキースイッチは、自分の使いやすい位置に配置します。親指部分も1キーか2キーか好きなほうに決めます。

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キースイッチをはんだづけするときには、下の写真のようにPCBとキースイッチの間に隙間ができないように注意します。

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ぴったり

 

はんだづけが終わるとこんな感じに。これでハードウェアはほぼ完成です!

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キースイッチのはんだづけが終わったら、プレートのねじ止めをします。3枚あるのでしっかり組み立てます。ここは特に難しいことはないのでビルドガイドに従って組み立てます。

 

 

3-8 完成

キーキャップをはめて完成です!かわいいキーボードができました。所要時間は5~6時間でした。また、完成したら終わりではなく、その後もキーマップやキーキャップのカスタマイズ、ケーブルの自作、はたまたキーキャップの自作やその他アクセサリーの自作などなど・・・、様々な楽しみ方ができるのが自作キーボードの醍醐味です!

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LEDがきれいに光ります。

 

 

 

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