遊舎工房スタッフブログ

このブログは遊舎工房スタッフが交代で記事を書いていくというものです。自作キーボードにまつわるものなど、なんでもOKな縛りがないものとなっていますのでバラエティに富んだものになるかと思います。

Gateron Caps Yellowのスプリングを交換する

お久しぶりです しがない舎員のらふです

Twitterでかなり美味しいネタを見つけてきました。ので、舎員という肩書をお借りして研究の成果を津々浦々と記載していきます。

最近サリチル酸さんの汎用のアルミケースに使えるキーボードの設計をしており少しずつですが、進捗も出ていてうれしい限りです。

 

今回の主役

Gateron Caps Yellow

  • 新しい構造を利用したCapsシリーズのリニア
  • ファクトリールブあり(Pre-Lubedシリーズ同様オイル系)
  • 内部構造のおかげかかなり柔らかい底打ちを実現している
  • 2530円/35pcsと安価

8/28現在遊舎工房でも取り扱っています

 

基本的なMXの互換との違いは内部構造だけで、それもKailh Boxスイッチほどではないので分かりにくいかもしれません。

 

主な違いとして

  • ステムの棒の仕様と径
  • ボトムハウジングの仕様と径

普通であればボトムハウジングにステムを刺すという表現が正しいですが、Capsシリーズの場合はボトムハウジングにステムを被せるという感覚に近くなります。

この機構によってステムの棒がぶつかる感覚が少なくなり、柔らかさが生み出されるということなのでしょう。

ここまではあくまで事前知識となります。

 

本題

Caps Yellowはこの被せるという仕様上、どうしても普通のスイッチのステムの棒より太くなります。

比較してみます。

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ステムの棒の太さは一目見て違うことがわかりますね。

スプリングはどうでしょうか?

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Alpacaのスプリングの内径と外径
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Caps Yellowのスプリングの内径と外径

いかがでしょう。
あまり長さ以外の違いがないと思われがちですが、結構こうして数字に出してみるとスプリングのサイズが違うことがわかるのではないでしょうか?

 

今回のもっともメインのネタはこの大きいスプリングを交換するというわけですが、Box系統のハウジングやステムを除いて一般的なMX互換スイッチはおおよそAlpacaと変わりないサイズです。

入らないわけではないですが、基本的には入っても動作難しいと考えるでしょう。

実際その通りで、これまで入って動作が確認されたスイッチはそう多くありませんでした。

 

そこで舎員という立場を利用して、これをネタにしてやろうと考えたわけです。

Boxスイッチやそれに沿う形状のハウジングのスイッチ、ファクトリールブが多いスイッチを除いた遊舎工房にあるスイッチ、約40個近くで比較しています

以下がその表になります

 

Gateron   外径 内径 備考 素材
  CapsYellow 4.1mm 3.5mm   Go
           
  Red 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Brown 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Blue 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Yellow 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Green 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Clear 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Silver Blizzard 3.8mm 3.3mm Y(実用的) Stock似 Go
  Milk Black 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
Gateron Silent          
  Red 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Black 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Clear 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Brown 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
  Yellow 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) St
Kailh POM          
  Chocolate 3.8mm   N(押し切れない) St
  Blueberry 3.8mm   N(押し切れない) St
Alpaca          
  Alpaca 3.8mm 3.2mm N(押し切れない) Go
  Silent Alpaca 3.8mm 3.2mm YS(バネ外し難あり) Go
Zeal          
  Aliaz 3.8mm 3.3mm Y(かなり実用的) St
  Sakurio 3.8mm 3.2mm N(押し切れない) Go
  Tealio v2 3.8mm 3.3mm Y(かなり実用的) Go
  Healio v2 3.8mm 3.2mm Y(かなり実用的) Go
  Turquois Tealio 3.8mm 3.2mm N(押し切れない) Go
  Zelio v2 62g 3.9mm 3.4mm Y(現状もっとも理想) Go
  Zilent v2 62g 3.8mm 3.2mm YN(短め) Go
  Roselio 3.9mm 3.3mm Y(理想) Go
TTC          
  Blush 4.0mm 3.6mm Y(Stock上位互換) Go
  Water Melon 3.9mm 3.3mm N(押し切れない) Go
  Gold Brown 3.9mm 3.3mm N(押し切れない) St
OA          
  No lube 3.8mm 3.2mm N(押し切れない) Go
Cherry          
  Red 3.9mm 3.2mm N(押し切れない) St
  Brown 3.9mm 3.2mm N(押し切れない) St
  Blue 3.9mm 3.2mm N(押し切れない) St
  Silver 3.9mm 3.2mm N(押し切れない) St
  Silent Pink 3.9mm 3.2mm N(押し切れない) St
Gateron Ink          
  Red 3.8mm 3.1mm Y(実用的) St
  Blue 3.8mm 3.1mm N(押し切れない) St
  Yellow 3.8mm 3.2mm Y(実用的) St
  Black 3.8mm 3.2mm N(押し切れない) St
  Silent Black 3.8mm 3.2mm Y(実用的)←なぜ St
GPro White          
  One Stage 3.8mm 3.3mm N(ほとんど押せない) St
  Two Stage 3.8mm 3.3mm N(ほとんど押せない) St
           
           
      Y/n(スプリングの取り付け可/不可)  
      S/N(微妙/押し込めない)  
      Go/St 金メッキ/ステンレス  


かなりしっかりと調べました(長さはノギスだと基準にしづらいのでまたいつかやります)

個人的に気になったところは

  • Ink BlackとSilent Ink Blackのスプリングの大きな違い
  • バネの長さは直接的な要因になりにくい(Two Stageでも動かないのがあるところなど)
  • TTC Blushのクッション感はスプリングによるところが大きそう
  • Kailh Speed&Pro(リーフを壊しかけたのでリストにはない)はまたBoxともMXとも違って特殊なのか
  • Zealioの重さによる違い

辺りでしょうか?

 

感想

思っていたより実用的なものが多くて驚きました。とはいえスプリングのためにスイッチを倍、あるいはそれ以上のコストをかけて購入するのはメリットが微妙なので実用的とはいえません。ストックのまま使うのが理想的ともいえるため、あまりここまでいじろうとする人も早々いないとは思いますが、世の中にいる酔狂な方々のために役に立ってくれると嬉しいです。

0.1mmの単位の世界だと気づかないものだと思いましたが、実物を比較すると大幅に違うことがわかりますし、なにより実際に動かしてみることにより明確な違いを感じ取れたのはいい経験になりました。

 

この表はCaps Yellow以外でも使い道はあるかもしれません。一応もとのファイルも公開しておきますので是非お使いください(それにより発生する損害に責任の一切を負いません)。

シートは今後も更新予定です。

docs.google.com

 

 

この記事は

で書きました

 

次回はしっかり初心者向けの記事を書きたいところですが、脳内ネタが増えてしまいなかなかアウトプットが上手くいきません。

 

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